2012/05/13

ブリヂストン美術館へ行く。

12日。買い物に出たついでにブリヂストン美術館へ。開館60周年を記念した展覧会が開催中なのだ。
昔からこの美術館は大のお気に入りで、企画展もだけれど、常設のコレクションがとにかくすばらしいのだ。
今回は久留米の石橋美術館のコレクションも加わっているので、石橋コレクションのエッセンスを肌で感じることができます。その底力に圧倒されました。趣味がいいんだなぁ。やっぱり私はブリヂストン美術館が一番好きだ。

「自画像」「静物」などテーマ別に展示してあります。何十回も見ている絵画でも、いつもとは違う順番や並び方で見ていると視点が変わってとても新鮮。新たな発見もありました。
印象派の揃え方はすごいですね。印象派の画家たちの、光線の表現やタッチが、当時いかに斬新なものだったか、今さらながら気がついた次第。
日本の近代絵画(洋画)は好きなのばっかり。現代美術も近代美術館のコレクションよりわかりやすい気がする。
今回は新たにコレクションに加わった岡鹿之助の「セーヌ河畔」も楽しみでした。
それと雪舟の「四季山水図」。非常に丁寧で謙虚な画だと思いました。

教科書に載っている美術品もたくさん。若い人も楽しめると思います。

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2011/12/07

午後からお休み!

気が付けば師走であります。
年度末だ何だかんだとやることいっぱい。今日は近くに住む義妹から夫の携帯に「昨日も今日も帰ってないみたいだけど…」と心配の電話がかかってきたそーだ(笑)。帰ってないんじゃなくて帰りが遅いんです。
でも今夜の私はお仕事で遅くなったのではありません。午後から半休とって遊んできました。

お昼ごはんは虎ノ門のクラフトビアマーケットでランチのビールカレー。ビターで大人の味でおいしい。サフランライスにグリルした野菜が美味。お肉トロトロ。午後から仕事しなくていいのでビール飲んじゃいました。ちょっと迷ってベアードビールのライジングサンにしました。さすがに他にビールを飲んでいる人は…と思ったら二人組の外国人ビジネスマンが飲んでいた。さすが。
書店に寄ってウロウロ。テクテク歩いて出光美術館へ。『長谷川等伯と狩野派』を見ました。
狩野派とかいわれてもよくわからないのですが(知識としては知ってる程度)16世紀後半、画壇の一大勢力として君臨していた狩野派と、長谷川等伯を中心とする新進の長谷川派との、お互い影響を受けながら、お互いの存在を意識しながらの立ち位置といったものを面白く見ました。そして等伯が牧谿筆の中国画にも影響を受けたというところも「なるほどー」と納得。『竹虎図屏風』の虎ちゃんがかわいらしかった。

半蔵門に移動して夕方から国立劇場で文楽。

 『奥州安達原(おうしゅうあだちがはら)』
    外が浜の段、善知鳥文治住家の段、環の宮明御殿の段

後半三段目は歌舞伎で見たことがあるけれど、今回はその前の話しもやるので「なるほどー」と人間関係のつながりがわかりました。袖萩と年老いた両親とのやりとりのところは泣いちゃったよ。泣かせるようにもってくるのよ。客席は鼻をすする人多数。寛太郎さんの三味線がきれいな音色でよかった。富助さんは情感たっぷり、燕三はダイナミックで力強く、同じ三味線でも全然違うねー。

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2011/10/28

吉永陽一 写真展「空鉄(そらてつ)」@渋谷ギャラリー大和田

27日。8時過ぎに退社。夫から、自分もこれから会社を出るから渋谷でやってる写真展を見に行かないかと連絡あり。うーん。これからだと遅くなるしあまり気が進まなかったけれど結局つきあう事にしました。
友人が「いいよ」とすすめてくれた吉永陽一さんの写真展『空鉄』です。→ここ。吉永陽一さんも空鉄なんていう言葉も初めて聞きます(失礼)。セスナ機に乗って空から撮った鉄道写真らしい。これが…実によかったのでありますよ。

東京を中心に撮った写真が20点あまり。今までにない視点で新鮮だし、何より「いま、そこを走っている街の中の鉄道」というカメラマン、吉永さんの視線がうれしい。鉄道が風景になっています。
列車や貨車が整然と並ぶ車庫や操車場の美しさといったら!震災後すぐに撮られたたくさんのタンク車は例の磐越西線まわりで被災地にガソリンを届けたタンク車でしょうか。開業後すぐの「はやぶさ」の屋根はまだ汚れていなくてきれいだ。
街でも郊外でも、日本の風景は美しく、鉄道はその中を走っているのよね。写真の中の車輌はまるで模型のようです。現実感がないかも。中に人が乗っているというのもあまり感じられません。ふしぎ。

三脚をたててやってくる列車を待つわけではなく、自分も向こうも動いている状態で、それも望遠で狙うわけですから偶然はもちろん、かなりの技術が必要と思いました。それにどの写真も構図がよくて、才能を感じます。もちろん誰にでも撮れる写真ではないしね。ブレイクの予感…がしますです。
興味深く面白い写真展でした。22時までやっているのでお仕事帰りにぜひぜひ。

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2011/09/28

華麗なる京蒔絵@三井記念美術館

24日。三井のコレクションから蒔絵の逸品がいっぱい。
特に明治から大正、昭和の初めにかけて、三井高棟が誂えた作品がすばらしい。目の高さに財力、それに答える職人の、シアワセな出会いと言う気がします。まぁ、その裏には「搾取される労働者」の存在があったわけですが。いまはもう、例え技術はあってもこれだけのものを作らせる人がいないだろうなぁ。世の中全体が何となく貧乏くさいし。貧乏くさい中から文化は生まれないのだ。

限られたスペースの中のモダンなデザイン。確かな技術が可能にする小さな世界。ピカピカまぶしくて、豊潤っで、見ているだけで心がお金持ちになってきます。
ほとんどは鑑賞用に作られたものですが、中に一点、高棟が実際に使っていたという赤い塗りの小さな硯箱が、素敵な存在感を持っていてよかったです。使っていたものには人の気持ちが宿るね。

また注目は昭和天皇の御大礼の祭に献上された棚。豪華という言葉は、このためにあるのだわ。

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2011/08/22

地元再発見

午後から初めて地元の区立資料館に行ってきました。電車でもいけますが、今回はコミュニティバスに乗りました。ノロノロと自転車くらいのスピードで脇道をよって行くので時間がかかるかかる。自宅から駅を挟んで反対側なのに目新しい風景に全然違う場所にきたよう。旧街道を行くのも面白いです。

私は成人してから東京へ来たので、普通は小学校や中学校で習う地元の歴史(地理)が丸ごと抜けています。それを今になって頭の中につけたしている感じ。関西と違って関東は風景も違いますからねー。
東京は戦災の前に関東大震災で一度様子が変わっています。郊外というより川向こうの田舎だったこのあたりは、焼け出された職人達が豊富な水を求めてやってきたり、町工場が沢山できたりと今でも続く地場産業を作っていきます。大正時代まで自宅の近くに造り酒屋があったというのも驚きでした。
古代からの地形の変化、歴史、変わっていく産業、人の動き。今の風景も昔から続く理由があっての事というのがわかります。たまにはこうして自分の足下を見てみるのも面白いです。←気分はすっかり小学校の自由研究

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2011/08/21

日本美術にみる「橋」ものがたり@三井記念美術館

20日。三井記念美術館の夏の展示はテーマが面白くて毎年楽しみにしています。今年は「橋」。日本橋が今の橋に架け替えられて100年になるのを記念しての展覧会。様々な美術品に描かれた(取り入れられた)橋をみていきます。

興味深く見たのは最初の、工芸品の意匠にみる橋のコーナーで、茶道具や文箱、貝合わせの貝をしまう蒔絵の入れ物などなど、美しく、そこに小さな世界がとじ込められているようで、見飽きる事がありません。源氏物語や伊勢物語など、古典に題材を取ったものは、嫁入り道具のいいアイテムになったのだろうし、いくつか出ていた志野茶碗も、同じようなデザインなのに、それぞれ銘が違っていて、その時の受け止め方でどういう風にも見られるというのも面白かったです。高校の時、もっとまじめに古文の授業を受けておけばよかったなー。

「諸国の橋」は、浮世絵などに描かれた各地の橋を紹介していて、ちょっとした旅行気分にひたれます。違う方向から見た同じ橋を並べて展示したり、船橋(船を沢山並べてその上に板を渡して仮の橋としたもの)の様子がよくわかる絵があったりと見入ってしまいました。大阪の鳥瞰図も面白かったなー。上町大地から大阪湾を望む視点で、南は天王寺から住吉神社を通って堺へいたる街道筋、中央部分には格子状に堀があり、屋根瓦がぎっしり。梅田新地やお初天神のあたりは田舎で薄暗く、京から淀を下るは落語の三十石船の舞台。おもしろーい。

また、宗教的なテーマの絵巻や掛け軸では、橋はあの世とこの世の境目、結界の象徴として描かれます。
大きな屏風は少し離れてみると立体感が出て、いいですねー。「柳橋水車図屏風」がとても気に入りました。

そんなこんなで2時間近くいました。うはー。疲れた。

次回は9月17日からは京蒔絵の展示です。これまた楽しみだわー。

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2011/07/18

東京は暑いのでおうちにいない作戦

この三連休はお休み。夫もお休み。
おうちにいても暑いので(家事をするのが面倒くさいので)節電を兼ねた(口実)「おうちにいない作戦」を展開中です。

土曜日は午前中美容院へ。カットしたあと最近始めたというスカルプマッサージをしてもらいました。頭皮の汚れをとってついでにマッサージもしてスッキリさせようというもの。確かに、何だか頭が軽くなったよーな気がする(^^)。髪の毛も元気になったような。たまにしてもらおう。
夫と待ち合わせて駅前の定食屋で鰻丼を食べてから、両国の江戸東京博物館へ行きました。「東京の交通100年」なる企画展が開催中なのだ。
鉄道馬車から市電(都電)、バス、トロリーバス、地下鉄と、東京の人の動きを支えた交通の歴史をひもとく展覧会。なかなか見応えがありました。円太郎バスの実物展示がありました。
その後ポパイでビール飲んでおしまい。

日曜日の今日は福島は小名浜の「アクアマリンふくしま」に行きました。地震と津波の被害を乗り越えて、再オープンしたばかりなのです。
ココには今年の元旦に行ってとても気に入った所。施設が壊れ、多くのお魚たちが死んでしまったニュースには夫ともどもショックを受けました。再オープンときいたので、さっそく出かけました。
お魚は少なくなってしまったけれど、これからまた時間をかけて増やして育てていけばいいと思います。お客さんもたくさん。楽しく大人も見応えのあるいい水族館です。今回はボランティアによるバックヤードツアーにも参加しました。展示している水槽の後ろはどうなっているのか・・・面白かったです。
水族館のある小名浜港に通じる産業道路は液状化と津波の影響で道はガタガタ。海の近くにある海水から塩を造る工場は休業中。水族館前の信号はまだ復旧しておらず、飲食店やお土産屋さんがいっぱい入っていた施設も休業中。地震の爪痕はまだ残っています。
でも駐車場の一部では屋台があって小さなトラック市があって、カニ汁の振る舞いがあって、アスファルトの瓦礫を集めて作った「がれき座」でコンサートが行われたりと、気持ちがワクワクします。
水族館は家族連れを中心に大勢の人が来ていました。みんな本当に楽しそう。こういう状況で、子供はもちろん、大人も楽しめる場が少ないのではないかなぁ。海にも入れないみたいだし。
往復のタクシーの運転手さんにもいろいろ話しをきいたけれど、今の状況は気の毒としかいいようがないし、ほんと、原発事故だけ余計だよねぇ。私は放射能の事にしても、今のマスコミの報道は人の不安な気持ちを無闇に煽っているだけのように思えるので嫌です。
その後、いわきから磐越東線に乗って郡山経由で東京に戻りました。車窓から牛の姿をたくさん見ました。今回の放射能騒ぎにしても、まるで酪農家の人たちが悪いようで気の毒です。被害者なのにねぇ。あの牛たちは何にも知らないのだなぁと思うと悲しくなりました。

明日はどこに行こうかしらん。

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2011/07/06

下町風俗資料館に行ってきた。

3日。鈴本演芸場に行く前に、近くの下町風俗資料館に行きました。以前から気にはなっていたけれど、いつでも行けるわーと思ってしまって、行くのは初めて。
18日まで「路面電車が走る町 下町の暮らしと交通」というミニ特集が開催中なのだ。この資料館が建っている場所が確か元都電の電停だったような。

大正時代を中心に明治から昭和の30年代くらいまで。東京の下町の、ごく普通の暮らしのまわりにあったものを集めた資料館ってところでしょうか。実際に遊べるおもちゃもあって、子供より親の方が夢中になって遊んでいる姿も(^^)。私が子供の頃にあったなぁって物もいっぱい。カルピスのお中元についていたマドラーが懐かしかった。使ってたよー。(お中元にカルピスが届くと子供が大喜び)
興味深かったのはお歯黒をつけるための道具。明治生まれの祖母が、子供の頃はまだお歯黒をつけているおばぁさんがいたと話していました。その液がものすごーく臭いらしい。櫛やこうがいが反らないように挟んでおく板なんかも珍しく見ました。

館内には長屋、昭和30年代らしき一間の貸し屋、風呂屋の番台なぞがしつらえてあって、実際に中に入れます。番台にも上がれる。「湯屋番ごっこ」ができるよー。
長屋の様子なんていうのは、今の30歳代くらいだともうわからなくなっているのではないでしょうか。落語好きはぜひ行くといいと思います。

想像以上におもしろかったです。建物も古くさくて昭和の香りがします。

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2011/02/19

『なぜ、これが傑作なの?』@ブリヂストン美術館

18日。仕事ばっかりしているとバカになるので、気分転換にブリヂストン美術館へ。ココは平日、22時まで開館しているので、会社帰りにいけるのがうれしい。空いているのでゆっくりできるしね。
企画展もよろしいが、なんといっても常設展が魅力です。ほとんどの絵の額縁にガラスを入れていないから、生の絵画の魅力を間近に接することができます。皮の座り心地のいい椅子がところどころに置いてあって、そこに座って名画とじっくり向かい合えるし。コレクションの趣味もよくて、品のいい質の高い名画に手軽に出会えます。以前は、いかにも自社ビルの一室を展示室にしましたって感じだったのですが、リニューアルしてからとても見やすくなりました。一つの展示室の出口から次の展示室の絵が見えるところとか、気持ちが盛り上がる見せ方なのであります。

今回はいつものコレクション展に、美術館の目玉と言える絵画のいくつかに、少し長めの説明文をつけたもの。例えばルノアールの『すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢』は、無名時代のルノアールが、絵を買ってくれたシャルパンティエ氏の依頼で肖像画を描くことになって、なんとかこれを成功させなければと緊張しながらの製作だったなんて知ると、なるほど、画面から画家の意気込みが感じられるような(^^)。どんな絵にも、それが描かれた理由や背景、エピソードがあるわけで、それを少しでも知れば、鑑賞する楽しみも増えるというものです。

ピカソの『腕を組んですわるサルタンバンク』、小出楢重『帽子をかぶった自画像』、岡鹿之助『雪の発電所』と私の大好きな絵もじっくり堪能。グロッスの『プロムナード』がなかったのが少し残念。

今年は青木繁の没後100年にあたるそうで、夏には回顧展が開催されるそーです。

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2011/02/18

『小林礫斎 手のひらの中の美 ~技を極めた繊巧美術~』@たばこと塩の博物館

13日。この日は夕方から国立劇場で文楽鑑賞。その前に気になっていてこの展覧会に行ってきました。→ここ。「たばこと塩の博物館」は初めて行きました。渋谷が鬼門のわたし。今回もしっかり迷子になりました。

小林礫斎(こばやしれきさい)は、元々たばこ入れの根付けなどをつくる職人。が、だんだんたばこ入れが使われなくなり仕事が減っていくに従って、余技だったミニチュア作りに本腰をいれるようになったとか。
それは去年、泉屋博古館で見た『世界を驚嘆させた金属工芸』展での、刀剣の飾り職人が、精巧な金属工芸への道に入っていったのと同じ。どこまでも手を抜かない、徹底した仕事ぶりも同じ。そこにはこれは芸術と気負うところがなく、納得したものを作る職人気質が見えます。

決して広くない展示室に、細かい細かい作品がずらり。いやぁ、すごいです。「ミニチュア=子供のおもちゃ」と思っているとエライ目にあいます。目が疲れる・・・。
全ての作品を礫斎ひとりで作ったというわけではなくて、様々な職人が得意分野をうけもって、礫斎はプロデューサー的な役割を果たすこともあったそうなんですが、それにしても何なんですかねー。米粒に書いた文字どころか、籾に彫った大黒様(だったかな)、目を凝らして見てもよく見えない独楽(それもちゃんと回る)、どうして描いたのかわからない百人一首の絵とか、もうよくわからない(笑)。作品がどんどん小さくなっていく。その背景には、中田寶というパトロンの存在もあったようです。「次はこれ」と二人で楽しんで作っていたのでしょう。作品にワクワクした気持ちが感じられます。面白がって作らないとやってられないと思うけど。爪の先ほどのミニチュアを見ている途中に、手のひらサイズの物が出てくると、大きいと思うしホッとするよ。
楽しい展覧会でした。

階下の常設展も見ました。こちらは「たばこと塩の博物館」という名前にふさわしい内容。特に古代から現代にかけての塩の作り方を興味津々で見ました。巨大な岩塩の展示物もありました。舐めたら塩辛いのかな。
お土産に瀬戸内海の天然の塩を買いました。

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