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2010/05/30

「浅草博徒一代」佐賀純一@新潮文庫

20100530_

土浦の開業医、佐賀純一の診療所にやってきた老人。背中一面に「龍に牡丹」の彫り物をし、見るからにクセのある人相のその男に惹きつけられた著者の佐賀純一さんは、男の家に通い、若い頃の話しを聞く機会に恵まれます。男は浅草の親分で、賭場を子分に譲って土浦にやってきたのでした。

大正から昭和の初めにかけての浅草近辺や深川の庶民の生活、浅草の大親分の子分になってからのやくざの世界、『人間の世界はここで行き止まり』という最下層の人々、警察の拷問に刑務所での出来事、女のこと、駆け落ち。どれも知らない世界で(当然ですが)興味深く読みました。暴力シーンばかりのヤクザ映画なんかより断然面白い。
当時のやくざは賭場で生計をたてていて、その賭場の話しは大好きな映画「緋牡丹博徒」のシーンなどを思い出しつつ読みました。でもあぁいう映画の賭場のシーンは間違いが多いんですね。
賭場は素人さん相手に開くから、無茶はしないものだったんだそうです。警察に通報されたり悪い噂がたってお客がこなくなると困るから、楽しく遊ばせて帰すもの。また見つかってはまずいので、とても静かだったとか。映画みたいにドスを抜いて大騒ぎなんてしないもの。そりゃそうだわね。
また堅気の人の迷惑にならないように、目立たないようにひっそりと暮らしていたというのも納得です。東映映画でアラカンがやってた、やくざの親分って感じだなぁ。

やくざがいいとは思わないけれど、こういう昔のやくざの世界は、世間で「まともに」暮らしていけない男たちの受け皿になっていたんだわね。今の世の中、そういう受け皿が少なくなっているような気がする。

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