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2009/11/10

『樋口一葉』@神保町シアター

6日。この日の星占いの運勢がよくなかったところに「お疲れ気味」のコメントあり。お疲れですお疲れですお仕事したくなーい!と、残業せずに退社。どこに遊びに行こうかと悩んだ末に神保町シアターで映画をみることにしました。

『樋口一葉』(1939年・東宝)。山田五十鈴主演の文芸映画でありますが、戦前の古くさい映画だし、いい映画だとはきいていたけれど監督は超有名ってわけじゃないし、夜の回だし、空いているだろうといつものとおり開場の10分ほど前についたのですが・・・なんなんじゃ、この混雑!99人の定員で、私は70番目でした(いつもは30番代から40番代ってとこ。空いてる時は20番代のこともあり)。最近、名画座の人気が出てきたと新聞に出ていましたが・・・。ちょっとびっくり。若い外国人女性もいました。何にせよお客さんが多いのはいいことだ。

映画は樋口一葉(山田五十鈴)が、吉原裏の長屋で荒物屋を開いていた間のお話し。(関係ないけど、20代の同僚に「荒物屋」と言って通じなかったのには驚いた)
「たけくらべ」や「大つごもり」が、一葉が実際に経験したエピソードとして、ストーリーの中に巧みに取り入れられています。話しの展開に無理がなくて「うまいなー」と感心していたら、脚本は八住利雄でした。

とにかく山田五十鈴が凛として美しい。気持ちがが入っている時よりは、ふっと気が抜けたようにぼんやり窓の外を見ている時なぞのほうがぐーっと存在感が増す女優さんであります。声高に自己主張はしないけれど芯の強さを感じさせる目が印象的でした。まだ少女の高峰秀子が、みどり役で出ていました。映画の終盤で盛装したみどりが吉原に入っていくシーンがよかった。今まで一緒に遊んでいた長屋の友達がだまって見つめる中、にっこり微笑んで吉原の塀の中に入っていくのだ。その表情が何ともいえず。沢村貞子、清川虹子も出てたなぁ。清川虹子は場末の女の哀しさのようなものがにじみ出ていました。明るい演技なんだけれども。
セットもすばらしかった。吉原裏の長屋のようすはもちろん、ちょろっと出てくる吉原も「本当にこんな景色だったんだろうなぁ」と思わせるリアルさがありました。

半井桃水から離れて自活の道を探るべく、また社会勉強も兼ねて商売を始めた一葉でしたが、生活は苦しく無理がたたって体を壊してしまいます。士族というプライドは強いのに娘に従わざるを得ない母親、たくましく姉に従う妹、様々な形で一葉にかかわる人たち。店を畳んで吉原を去る一葉は、そこで見聞きした事を小説に書き上げていくのであります。
90分足らずの味わい深い映画でした。

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コメント

昔々、大原麗子さんがTVで一葉役をやったこともありましたね。
あやこさんの映画評を読んでいたら思い出しましたよ。
金貸しのところへ出向くところなど、うまかった。
妹のなつ(奈津・夏)役は大場久美子で、半井桃水は
石坂浩二だった記憶がある。間違っているかな?
大原麗子の一葉すがたは、まさに鏑木清方の絵みたいでした。
この方、上村松園も演じたけど、これもぴったりだった。

一葉のたくましさ、それは「甲州商人」の気概だ、って
教えてもらったことがあります。

おおみそか、すっからかんで、
あんまり家に何にもないので、かえってすっきりして
家族三人で笑った、っていう日記の記述も好き。
笑い事じゃないけど、いっそ笑った、って。
ちなみにこの時、一葉は家長でありました。

投稿: MINA | 2009/11/10 19:00

MINAさん、どーも(^^)。

そうそう、私も覚えています、大原麗子主演のドラマ。ちょっと調べてみたらNHKの「ドラマ人間模様」で放送されたようです。

http://www.tvdrama-db.com/drama_info/p/id-22357

半井桃水が石坂浩二ってのも覚えています。
再放送にならないかなぁ。

樋口一葉って実は結構あっけらかんとした力強い女性だったのではないかと思っています。じゃないといくら自分が家長だからといえ、吉原裏で商売を始めたり、文筆で身を立てようとしたりしないと思うのです。
そのあたあり、芯の強い(そして美しい)女性っていうのが大原麗子にぴったりでしたね。

投稿: あやこ | 2009/11/15 20:39

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