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2009/08/30

『櫓の正夢―鶴屋南北闇狂言』星川清司@ちくま文庫

20090829_
星川清司というと、私の中では大映の脚本家で、市川雷蔵主演の映画の脚本もいくつか書いています。→ここ。やっぱり『眠狂四郎』シリーズかなぁ。『眠狂四郎勝負』『眠狂四郎炎情剣』『眠狂四郎多情剣』なんかいいですなー。『陸軍中野学校』の脚本も星川清司だったんだ。監督が増村保造なので、脚本は白坂依志夫だと思ってた。

脚本家から作家に転じたあとの作品は読む機会がなく、大映京都撮影所の事を書いた『カツドウヤ繁昌記』(これが面白い!)を図書館で借りて読んだくらい。単行本や文庫を買うにも10年以上前に出版されたものがほとんどで普通の書店ではまず手に入らない。図書館にもない。・・・てなわけで、読むのはあきらめていたのですが、これまたふらりと入った古書店で見つけた『櫓の正夢―鶴屋南北闇狂言』。「あった・・・」と(小声で)叫んでしまいましたよ。こういう時って、書棚からお目当ての本をひっぱり出すときちょっと躊躇しちゃうんですよねー。いいのかなーって。で、こそっとレジに持っていく(^^)。

新しい芝居がなかなか書けない鶴屋南北。偶然出会った浪人にひかれ、彼に近づきます。やがて、その浪人と彼にまとわりつく女たちの修羅場の中に南北は巻き込まれていきますが、それは南北が自ら望んだものでもありました・・・。

お話しはフィクションなんだけど、まるでノンフィクションのような、虚と実がないまぜになったまま、テンポよく場面が展開していくさまは、さすが脚本家。全体がミステリアスで、とても面白かったです。文章も読みやすい。
それに、お話しの中で重要な役割をもつ浪人が、私にはどうしても雷蔵の眠狂四郎に思えて仕方がありませんでした。黒羽二重の着流しに、こしらえのいい刀を落とし差し。ゾッとするようないい男って、どうみても狂四郎だわよ。でも小説の中の浪人は、雷蔵の狂四郎より、もっと荒んだ破滅男ですが。
狂四郎でなければ、中村仲蔵が斧定九郎の型を作るきっかけになったという浪人って感じです。

他の星川清司の本も読みたくなりました。
『小村雪岱』は以前から探しているんですけどねー。単行本の装幀がすばらしいらしいです。

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