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2009/05/13

五月大歌舞伎@新橋演舞場の簡単な感想

お芝居見物は2月の初日に歌舞伎座へ行って以来。先月の『伽羅先代萩』、吉右衛門が六助の『毛谷村』はぜひ見たかったのだけれど、時間がとれなかった。5月の演舞場は吉右衛門が座頭の恒例の舞台。昼の部の『金閣寺』(吉右衛門の松永大膳なんて絶対見たいではないですか)、夜の部の『鬼平犯科帖』が見たいので、早々に昼夜通しでチケットを取りました。疲れるから、別の日にしたいのだけれど、休みがとれないもんで(泣)。
しばらくお芝居を見ていないと「別に見に行かなくてもいいかなー」と思うけれど、やっぱり生の舞台はキラキラきれいで、明るくて、心の澱が溶けていくよーな気がします。
幕内にロビーに出たら、H嬢とばったり。「今日だったのー!」とお互いびっくり。
以下、簡単な感想。

昼の部
 『祇園祭礼信仰記 金閣寺』
演出も役者さんの衣装も舞台装置も、とにかく派手で歌舞伎らしい好きなおはなし。
吉右衛門の松永大膳は安心して見ていられます。ゴージャスな寝間着にガウンというようないでたち、王子という独特の髪型、「国くずし」という悪役です。にじみ出る「悪」と「色」、存在感。とてもよかった。こういう役は力のある役者さんじゃないと舞台に負けてしまう。
女方の大役である雪姫は芝雀が初役で。桜の木に縛られた雪姫が桜の花びらを使って足で鼠を描くと、その鼠が本物の鼠になって縄を食いちぎるという場面。雪姫一番のしどころで、芝雀はそこを家に伝わる型、人形ぶり(文楽の人形のふりをする)で演じました。私はとても面白いと思いました。その場面にかかると、浄瑠璃の三味線が二挺になって、「とざいとーざーい」と黒子が出てきて太夫などの紹介をし(文楽だー!)、雪姫の後ろには黒子がついて、本当にお人形になって演じます。こういう人形ぶりの演出は初めてみたし(『阿古屋』の岩永が途中で人形ぶりになったけど)、私は劇中劇のような感覚で楽しく見ました。お芝居は何も一つの型で演じる必要はないのだろうし、こういう「家の型」もどんどんやっておくべきだと思います。そういう点では落語も同じ。
真柴久吉役の染五郎もよかった。もちっと線が太くなればもっといいのですけど。こういう役の衣装は五月人形の桃太郎さんみたいで、派手でいいですなー。

 『心猿(しんえん)』『近江のお兼』
踊り。最初の踊りから次の踊りに変わるのは、舞台上で。馬の引き抜きは初めてみた。たのしー。


 『眠駱駝物語 らくだ』
落語の「らくだ」を岡鬼太郎が歌舞伎にしたもので初演は昭和の初め。初代の吉右衛門がやりました。去年の夏、勘三郎、三津五郎のコンビで見ました。その時は大爆笑の舞台でしたが、今回はそうでもありませんでした。お客さんもどう反応していいのか困っているような感じ。
去年の演出とは最後の場面が違っていて、今回の舞台は初演の形に近いのではないかと思いました。正岡容の随筆で、初演時の『らくだ』の舞台を結構けなしている一文があって、後味の悪さについて述べていたのを思い出したので。もともと「らくだ」なんていう話しは後味の悪い、イヤな話しだもんね。市馬師匠の「らくだ」は、そこをすっきりさせて好きですけど。
吉右衛門は播磨屋の芸を残していく事に心を砕いているように思うので、今回の舞台もその一つかと。


夜の部
 『鬼平犯科帳 狐火』
昼の部はおばちゃんばっかりだったのに、夜の部は男性の姿が目に付きました。
鬼平はもう当代吉右衛門しか考えられないです。「火付盗賊改方、長谷川平蔵である」と登場するところなんて「テレビと一緒だー」と心の中で叫ぶわたし。
ここでも芝雀が奮闘。錦之助のいい男ぶり、染五郎のヤクザな雰囲気がよろしい。こういうちょっと屈折したところが染五郎はとてもいいと思います。もうちょっと線が太くなればなぁ(何度もいうけど)。いつか『文七元結』の長兵衛なぞを見てみたいです。笹沢左保の股旅ものとか似合いそう。

 『於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり) お染の七役』
福助が七役を早変わりで見せます(このお芝居、福助が児太郎時代に南座で見てます。今回筋書きを見て、昭和59年だったと知りました)。
福助、ちとやりすぎ・・・の感は否めませんが、ショーアップとみれば、これもアリかなという気もします。事実、楽しかったし私の後ろの席の「歌舞伎は初めて」という女性グループは「面白い!」と喜んでいました。
江戸時代のイリュージョンってところか。筋はあってないようなもんです(笑)。こういう適当さも歌舞伎の好きなところなんだなー。私は大詰の「道行の場」が楽しかった。常磐津の踊りで話しが進んでいきますが、これまた派手でよろしい。
鬼門の喜兵衛役の染五郎が、想像以上によかった。


全体のお芝居を通して、脇役の役者さんがよかったです。大好きな歌六はもちろん、段四郎、歌昇、錦之助も適役。吉之丞、歌江というベテランが出ていたのがとてもうれしい。夫がご贔屓の芝のぶちゃんも、セリフいっぱいのお役で登場。彼女(とあえて言わせてもらう)は「絶対女だっ」と言い張る我が夫なのであります。好みらしい(笑)。

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