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2008/09/22

『吉原手引草』@松井今朝子

20080922
去年の直木賞受賞作品。以前から読みたいと思いつつそのままになっていたのですが、先日、図書館でみつけたので「しめしめ・・・」とさっそく借りて読みました。面白かったー。

時代小説でありミステリーでもあります。引手茶屋、妓郎楼の番頭、遣手、女芸者、幇間、女衒・・・一人の男が(彼の身分も最後までよくわかりません)吉原にかかわる様々な人に証言をとっていく構成になっています。男はとある花魁について調べているらしいのですが・・・。
小説としてはもちろん、私は吉原案内としても面白く読みました。

落語を聴いていると、時々、廓噺に出会います。私が実際に聴いたことがあるのでも「明烏」「紺屋高尾」「文違い」「付き馬」「突き落とし」。「錦の袈裟」「二階ぞめき」もそうなのかな。廓噺ではなくても、噺の中に「中の女」「中に行く」なんていう言葉がよく出てきます。で、演者は廓噺をするとき、マクラや噺の途中で、吉原や品川など他の遊郭について少し話しをする事が多いです。それだけ現代人には遠い昔のことになってしまったし、またどういう所か知識では知っていても、細かいルール、廓の常識、雰囲気まではわからない。それがですね、この本を読んでいると「なるほどねー」と思っちゃうのだ。読みながら私の頭の中では「明烏」や「紺屋高尾」渦巻いていました。ついでに川島雄三監督の映画『幕末太陽傳』も頭に浮かんだです。こっちは品川の土蔵相模が舞台だけどね。

まるでお芝居の幕が変わるように場面場面が切り替わっていくのが気持ちいいです。大勢の人が出てきて、それぞれの糸が複雑にからみあっていますが、結局は一本になっていくところも見事。とても面白い本でした。おすすめであります。

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