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2008/07/21

義経千本桜『河連法眼館の場』@国立劇場

18日。社会人のための歌舞伎鑑賞教室、今回は「義経千本桜」から「河連法眼館の場」。同僚H嬢と夫、そして歌舞伎は初めてという友人I氏、S氏の5人という大所帯で出かけました。
主人公の忠信を歌昇が初役で勤めます。私の中では、きっちり見せるけれど地味な印象のある歌昇が、どういう舞台を見せてくれるのか興味がありました。

「河連法眼館の場」は単独でも上演される人気のあるお芝居です。
河連法眼の館にかくまわれている義経を追って義経の家臣、佐藤忠信が一人でやってきます。確か忠信は静御前を護衛しているはず。しかし、この忠信は、そんな事は知らないと言います。そこへやってきたのが静御前と佐藤忠信。同じ人間が二人もいる! 実は静御前を守ってきた忠信は狐の化身だったのです。静御前が持っている「初音の鼓」は狐忠信の父狐、母狐の皮でできていたのでした。親恋しさに狐忠信は人間に姿を変え静御前の共をしてきたのです・・・・

とてもいい舞台でした。芝居の中に自分の気持ちが自然と入っていく感じ。前半に登場する本物の忠信は、主人を慕う実直な家来の様子がよく出ていて、舞台の重しになっていました。歌昇が大きく見えました。後半の狐忠信は、親を慕う気持ちが哀れで、特に後ろ姿に切なさが表れていました。思わず涙。
忠信狐の孝行心にうたれ(それなのに人間どもは肉親でさえ血で血を洗う争いごとに身をやつしている・・・)、親との縁が薄い自分の境遇と重ね合わせた義経が忠信狐に初音の鼓を下げ渡すと、狐忠信はそれを手にしてコロコロ転がしながら喜びます。その姿にじーんとしました。

今回は音羽屋の型なので宙乗りはありませんが、それでも早変わりや舞台に突然狐忠信が登場する仕掛けなどケレンもたっぷり。客席に小さな歓声がわき起こります。でもそういう仕掛けがこのお芝居の核ではないのですね。主人を思う心、親兄弟を思う心、そういう心を狐の姿を借りて訴えるところに、忠信を演じる歌昇が心をくだいているのがよくわかって好感が持てました。

静御前の高麗蔵、義経の種太郎、亀井六郎の宗之助などなど、脇役の面々もそれぞれの役をきっちりと演じていて、小粒ながらもまとまった非常にいいお芝居でした。いやー。失礼ながら期待以上でありました。
この忠信、歌昇の当たり役にしてもらいたいと思います。

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コメント

実は松井今朝子さんの小説「仲蔵狂乱」を読み終えたばかりで、今歌舞伎にもすごく興味があります。
勿論きっかけは落語の演目「中村仲蔵」にもっと良く知る為だったのですが、ミイラ取りがミイラになってしまいそうです。(^_^;)
よろしければ、私のような初心者が歌舞伎を見る場合の覚えていた方がいいところ、初めて見るべき演目等、出来れば教えて下さいませ。

投稿: 梅薫庵 | 2008/07/21 07:56

松井今朝子さんの「仲蔵狂乱」、私も読みました。面白いですよねー。
落語と歌舞伎って昔は同じような庶民の楽しみだったせいか、落語→歌舞伎、歌舞伎→落語ってのが結構あります。有名どころは「七段目」。仮名手本忠臣蔵の「七段目」ですが、この噺は歌舞伎を見ておいた方が断然面白いです。同じく「四段目」も落語になってますね。
私は談春師の「鈴ヶ森」を聴いたあとで、たまたま歌舞伎座にかかったお芝居の「鈴ヶ森」を見る機会がありました。ちょっと得した気分。
梅薫庵さんは、やっぱり落語につながりのあるお芝居を見られた方がいいのでは?

歌舞伎座はちょっと敷居が高いんですよねー。お値段も高いし、安い席はアッと言う間に売り切れてしまいます(^^)。
金曜日に見に行ったお芝居は、26日まで国立劇場でやっています。最初に説明があること、一幕でさほど疲れないこと、お値段も手頃・・・ってことでおすすめです。昼間は課外授業の生徒が多いのですが。「河連法眼館の場」も落語のネタになっていたような。

http://www.ntj.jac.go.jp/performance/1872.html

歌舞伎座では8月に『らくだ』がかかります。そう、あの『らくだ』です。落語を歌舞伎にしたものです。興味津々。

http://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/2008/08/post_29.html

期待して行ったのにつまらない時もあるし、その逆もあるし、そのあたりは落語と一緒かなー。
でも劇場で見るお芝居はきらびやかで独特の雰囲気があっていいものです。これも落語と一緒かな。

投稿: あやこ | 2008/07/21 18:36

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