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2007/11/17

社会人のための歌舞伎入門『摂州合邦辻』

20071116_
今月の「社会人の歌舞伎入門@国立劇場」は、『摂州合邦辻(せっしゅうがっぽうがつじ)』合邦庵室の場一幕です。主人公の玉手御前は坂田籐十郎。すばらしかったです。あんまりいいんで、一緒に行った同僚T嬢とまたまた泣いてしまいました。

高安通俊の後妻に入った若く美しい玉手御前は、継子である俊徳丸(三津五郎)に激しい恋の炎を燃やします。跡目争いの中、毒を盛られて失明、醜い顔にもなってしまった俊徳丸は家を出て、許嫁の浅香姫(扇雀)と再会。追われる俊徳丸を助けたのは偶然にも玉手の父、合邦(我當)でした。合邦宅にかくまわれる俊徳丸と浅香姫。そこに愛しい俊徳丸を追って玉手がやってきます・・・

今回見たお芝居は、ここから始まりました。日も落ちて薄暗くなってきた頃、目立たぬように黒い頭巾を被って花道をしずしずやってくる玉手。その姿に劇場は一瞬時間が止まったようになりました。籐十郎の玉手には、それはもう品があるのです。七三でフッと後ろを見返る表情に、彼女の心に秘めたある思いを感じました(←というのは、最後の最後でわかる事なんですが)。
彼女を迎え入れた両親は、まさか我が子が継子に熱を上げて横恋慕するなぞ思いもよらぬこと、言葉を尽くして娘を説得しますが、玉手は聴く耳をもちません。「ふん!」というしぐさや表情に愛嬌も感じます。
やがて隠れ部屋から出てきた俊徳丸と浅香姫。玉手は俊徳丸に言い寄り浅香姫にメラメラと嫉妬の炎を燃やします。このシーンがすごい。なにがスゴイって籐十郎の目が本当にメラメラ燃えているのだ。「キーッ!」と激情に身を任せて浅香姫につかみかかるところなんざ、本当にこの女、頭がおかしくなったのかと思いました。観客も唖然としているのがわかりました。
さて、玉手のあまりの乱行に「もはやこれまで」と合邦は玉手に刀を突き立てます。息も絶え絶えの玉手。ここで初めて玉手の本当の心の内がわかるのです。

最初から最後まで、籐十郎の存在感に圧倒されっぱなし。籐十郎のまわりには別の時空が存在しているような。冷静になって考えたらヘンなんです。坂田籐十郎ってもう年輩の男性なんですよ。それがどうしてあんなに「女」なんだろう。座っているだけでも、目の輝きで玉手の気持ちの動きがわかる。
我當もよかった。切ない切ない父親の気持ちがにじみ出ていて。三津五郎も若殿らしい気品がありました。
いい舞台でした。

来月はいよいよ吉右衛門です。楽しみ!
その前に来週はちょっくら歌舞伎座に行ってきまする。こちらも吉右衛門がお目当てでございます。うふふ。

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