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2007/10/16

ずばり東京@開高健(光文社文庫)

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昭和38年から39年にかけて週刊朝日に連載されたものです。開高健が「今」の東京の気になる場所や人を取材したルポルタージュ。現代ならネットカフェ、社会保険庁、お金があるのに給食費を払わない親や集金して回る自治体の人・・・ってところでしょーか。
東京オリンピックを境に東京は風景も人の気持ちもがらりと変わったようです(東京の変化は日本の変化でもあるわけで)。そのあたりの事は、昔の邦画ばかり見てるとなんとなーく雰囲気で感じる事ができます。この本には、そういう「時代の空気」がとてもよく表れていました。ページをめくるたびに、ムンムンとにおってくる感じです。結果的にそうなっただけでしょうけれど。40年かけて、本の中で文字が熟成されたってところかな。テーマは深夜喫茶、企業の独身寮、土地成金、労災病院、土地成金、総選挙・・・こうして書き出してみると、今とあまり変わっていないような(^^)。

ルポルタージュといっても高みから見下ろすようなものではありません。一人の小説家が興味のおもむくままに街を彷徨して感じたこっとを平易な文体で書き留めたもの。中には、毎週の連載が苦しかったんだろうなぁと感じさせる部分もあります。そんな部分も全部ひっくるめて、時々ゾッとするようなシャープな切れ味をみせるところが魅力。この連載が後の『ベトナム戦記』、『輝ける闇』(名作!)につながっていったんでしょう。開高健、ただものではない。

この本の中には、単なるノスタルジーではないリアルな昭和30年代がありました。それは「今の日本」を映す鏡であるように思います。

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