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2007/03/10

『狐の呉れた赤ん坊』@阪妻

フィルムセンターで『狐の呉れた赤ん坊』(1945年・大映)を見てきました。戦後、GHQのお達しでチャンバラや仇討ちものの時代劇映画が撮れなくなりました。そういう中で撮られた阪東妻三郎主演の人情時代劇。喧嘩のシーンはあってもチャンバラはございませぬ。

喧嘩と酒とサイコロを取ったら何も残らないという金谷宿の川越え人足「張り子の寅」(阪妻)が、街道筋に出るという狐退治に出かけたところで拾ってきてしまった赤ん坊。捨てることもできず、結局寅が育てる事になりました。最初は嫌がっていたのが、だんだんと情が湧いてきて、そのかわいがることといったら(子役は当時6歳の津川雅彦!)。ところが、その子供がさる藩のお殿さまのご落胤だということがわかって・・・

・・・と筋は単純。先が読めてしまうといったらそうなんだけれど、登場人物の一人一人が実に魅力的なのと演出のテンポのよさでぐいぐい引き込まれていきます。人情ものでもベタベタしていないところがよかったです。粘着質でないところといったらいいかな。全編ユーモアにあふれ(寅が何かあると相談に行く質屋にかかっている額の文句が『質々始終苦』)、実にいい映画でした。ラストシーンもよかった。観客の大部分が急に花粉症になってしまいました(泣)。

こういう映画を見たあとはいつも、人の心を打つっていうのはどういう事なのかな?と思います。最近「泣ける映画(はなし)」という言葉がもてはやされているようだけれど、最初から泣くのが目的なんていうのはつまらない。「泣く=感動」っていう図式も気にくわない。与えられたものでしか、自分の心を揺り動かせられないっていうのは、自分で自分が面白くないだろうなって思うんだけどなー。

阪妻もよかったです。ぶきっちょだけど愛情だけはたっぷりある父親の姿は『泥の河』の田村高廣に重なりました。

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