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2007/02/28

『悪名』

シリーズ化された勝新主演の『悪名』(全16作)の中で、見たことがあるのは16作目の『賭場荒らし』(1974年)だけでした。すでに大映は倒産していたので、勝プロ製作の東宝映画でしたが、増村保造監督はじめ、カメラの宮川一夫、美術の太田誠一、照明の中岡源権と旧大映のスタッフが作り上げた「中身は大映」の力作。スカパーで放送していたのを何とはなしに見始めて、気が付いたら最後までしっかり見てしまいました。面白かった。
主人公、朝吉(勝新)の弟分がモートルの貞。『賭場荒らし』では貞を北大路欣也が演じていました。それはそれでとてもよかったのだけれど、ちょっと貫禄ありすぎ。もちっと軽いイメージなんだけどなぁ・・・。

んで、第1作目となる『悪名』(1961年)を見ました。文句なしに面白い。河内のやんちゃくれ朝吉が、持ち前の男気を発揮して、モートルの貞と共に因島の遊郭に売られてしまったお女郎を助けに行くというはなし。まぁ、そこに至るまでにもいろいろお話しはあるわけですが。
場面がどんどん変わっていくけれど、演出も脚本もシンプルなのでわかりやすいし、何と言っても朝吉と貞の二人が魅力的でたまらない。特に貞を演じた田宮二郎がものすごーくいいのだ。筋肉質でひょろっとした体に角刈り。よく通る声でのべつ間もなくしゃべりながら朝吉にまとわりつく様子はもう、愛さずにはいられないですよ。この映画は貞がいないと成り立たないし、もし貞が田宮二郎でなかったら、面白い映画になったのかどうか。
登場する女性もこれまた揃って魅力的。朝吉と駆け落ちする中田康子は嫌みがないし、朝吉の妻となる玉緒ちゃんは、当時、実際に勝新と婚約中だったそうですが、ピチピチしていてその可愛らしさがたまらないし、朝吉を追いかけて足抜けしたあげく追っ手につかまって因島の遊郭に売られてしまう女郎役の水谷良重のうつむき加減、朝吉と貞を手助けする阿井美千子の妙な貫禄、因島の女親分の浪花千栄子の不思議な怖さ。
ものすごい大スターがいるわけではないけれど(勝新はやっと本領を発揮し始めた頃。田宮二郎はこれが出世作)、全員がうまくキュッとまとまった感じで、こういう映画、私は大好きです。

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