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2006/10/19

私は加藤泰が好きなのか?

私は加藤泰が好きなのか、いまだによくわからん。でも加藤泰の映画には見た後「あのシーンはよかったなぁ」と反すうしないではいられない魅力があります。『幕末残酷物語』の暑苦しさ、藤純子の可憐さ。『明治侠客伝 三代目襲名』のいさぎよさ、『緋牡丹博徒 お竜参上』の様式美、『人生劇場』の吉良常(田宮二郎!)のかっこよさ。どの映画にも心に残るシーンがたくさんありました。そして、日本人なら死ぬまでに一度は加藤泰の『瞼の母』や『沓掛時次郎』を見てほしいです。最近「泣ける映画」って言葉をよく見かけるけど、そんなに泣きたいなら、この2本の映画を見て泣けといいたい。
個性的でキラキラ光るモノがあって美しくて、そして良質の娯楽映画。

録画してあった『みな殺しの霊歌』を見ました(1968年)。東映にいた加藤泰が珍しく松竹で撮った現代劇。ざらついたような白黒画面が美しく、独特のローアングルは相変わらずだけれど、登場する役者や倍賞千恵子が働く食堂のシーンなどに松竹らしさがありました。構成に山田洋次の名前があったけど、どこにかかわっているのかしらん。(加藤泰と山田洋次って、うまくつながらない)

中年女性が情交のあと惨殺されるという連続殺人が軸。犯人の佐藤允はなぜ彼女たちを殺していくのか。それをさぐるように映画は進行していきます。
美しいモノ(見た目の美しさではなくて心とか気持ちとか内面の美しさ)を汚す事に対する言いようのない憎しみ。思えば加藤泰の映画には、この「真っ白に美しいものを汚す事への怒り、憎しみ」が共通したテーマになってるような気がします。少々残酷な殺害シーンも、白黒画面や構成のうまさで「ただ人を殺しているだけ」のシーンじゃないんだな。とにかく加藤泰の映画をひっぱっていく力強さ(演出のうまさっていうのかな)に手を引っ張ってもらいながら最後までみちゃったって気分です。大変な映画でした。映画館で見たら、夜、うなされそうな(笑)。

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