« TOKYO大停電 | トップページ | お盆休み »

2006/08/15

『川島雄三、サヨナラだけが人生だ』@藤本義一

20060813_
カワシマユーゾウという映画監督の名前は知っていました。代表作は『幕末太陽傳』、若くして亡くなって、今でも熱狂的なファンがいる(らしい)ってこと。最初に見た映画は何だったか忘れました。つまらない映画で、このつまらなさがファンにはたまらないのかなーと思いつつ見たのが『幕末太陽傳』で、これがもう、同じ監督とは思えないほどテンポよくてモダンで面白くて、こりゃ、いいわー!と目が覚めました。引き続いて『女は二度生まれる』『貸間あり』と見て、「才気あふれる」というのは、こういう事を言うのだなーと。支離滅裂一歩手前って感じです。

この本は、映画のシナリオライター志望の学生だった藤本義一が、ちょっとしたきっかけから川島雄三の下につき、『貸間あり』(名作だと思う。私は・・・ね)の脚本つくりを手伝った時のことを書いた本です。エッセイ、小説、対談、『貸間あり』のシナリオが載っています。

当時、撮影所では、川島雄三の下につくと、死ぬか気が狂うかのどちらかだと言われていたそうな。ここにいる川島雄三は、進行する病気(諸説はあるようですが、体の筋肉がマヒし固まっていく病気だったそうです)におおのきながらも、そういうそぶりは見せず、故郷(下北半島のむつ市田名部)のことは語らず、おしゃれで、露悪趣味があって、そしていつもあびるように酒を飲んでいます。小さな子供がわざと人の嫌がることをして気を引こうとするようなところもあって、藤本義一は振り回されながらも、時には怒って飛び出したりしても、川島雄三が好きで仕方がありません。そして時々、二人だけの濃密な時間の中で、ふと川島雄三の抱える闇のようなもの、見てはイケナイものに触れて、恐ろしくてたまらなくなります。

川島雄三の中には、愛と憎しみがないまぜになった何だかよくワカラナイものが渦巻いていたのでしょーか。藤本義一が、自分の師と仰ぐ川島雄三の、嫌なところもいい所も全部含めて愛情込めて書き上げた本。ちと感動しました。

ちなみに題名の「サヨナラだけが人生だ」は、川島雄三が好み、またトレードマークのようになっているフレーズです。『貸間あり』の中で、桂小金治がこのフレーズを言うシーンがいいんだなー。

|

« TOKYO大停電 | トップページ | お盆休み »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『川島雄三、サヨナラだけが人生だ』@藤本義一:

« TOKYO大停電 | トップページ | お盆休み »