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2006/07/18

『ある殺し屋』@市川雷蔵

20060718_
昨夜は久しぶりに雷蔵の『ある殺し屋』(1967年・大映)を見ました。あぁ、何度見てもいい映画。クールでスマートでユーモアがあって。私の大好きな映画の一本です。
藤原審爾の原作を増村保造と石松愛弘が脚色。本当は増村保造が監督するはずだったそうなんだけれど、『華岡青洲の妻』(これも雷蔵が主演ですが)を撮ることになって森一生が監督に。カメラは宮川一夫。増村保造が撮ってたらどんな映画になっていたかなぁ。

ストーリーは単純。平凡な風采の居酒屋の主人、塩沢(雷蔵)は裏の世界では名の知れた殺し屋。塩沢の店に転がり込んできたあばずれ女・圭子(野川由美子)、ヤクザで塩沢の弟分を気取る前田(成田三樹夫)の3人は、ある組が海外から仕入れるという麻薬を港で横取りする計画をたてる・・・
映画はその計画を実行する半日を軸に、3人の出会いを回想形式で見せていきます。

とにかく画面がきれい。青がテーマの押さえた色調(夜明け前の乱闘シーンの色のきれいなこと!)。雷蔵の洋服もブルー系統で統一・・・なんだけれど、その中で赤色が印象的に使われています。たぶん赤だけは、わざと強調した色調にしてるんだと思う。例えば雷蔵の着るジャケットのポケットチーフ、コートの裏地。野川由美子のセーター。タイトルバック。
そして奥行きのある画面。望遠で撮ってるからかなぁ。私は、この映画のよさの半分は、宮川一夫のカメラにあると思っています。どうって事ないシーンの一つ一つが美しいのだ。うっとりしちゃう。

もちろん、雷蔵もいい。ほとんど表情を変えない押さえた演技は時代劇俳優ならではじゃなかろうか。この映画の雷蔵のかっこよさっていうのは、他の映画のかっこよさとは少し毛色が違う。作らないかっこよさっていうのか。余計な説明のない脚本、森一生のあっさりとした演出も合ってるんだよねぇ。そうそう、音楽もすてきです。
カメラ、演出、雷蔵。オープニングからタイトルバックまでの数分間に、この映画のよさが全部出てる。ここだけ何度もみちゃうのだ。他にも、小池朝雄扮する組長から殺しの依頼をされる飛行場の場面、裏切ろうとする成田三樹夫を見つめる雷蔵の表情、夜明けの乱闘シーンと、しびれる場面てんこ盛り。
静の雷蔵に対してとにかく動き回る野川由美子もいいし、成田三樹夫もなぁ。最後の一言がケッサクです。

大映のベテランスタッフが、あぁしてみよう、こうしてみようと楽しみながら撮ったって感じ。客観的に見たら佳作なのかもしれないけれど、私にとってはベスト(が他にもいろいろあるが)の映画です。

雷蔵の店の女中役で若かりし小林幸子が出ています(野川由美子に追い出される役)。彼女は勝新とも共演してるし、大映京都で俳優やってたんですかねー。また、前半、野川由美子が雷蔵にまとわりつきながら町を歩くシーンで、二人の後ろを歩いているのが団次郎。MG5に出る前か。

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