« 風邪ひいた。 | トップページ | 本日ハ休暇ナリ »

2006/06/18

風邪ひいても映画メモ(10)

『心』(1973年・ATG)
夏目漱石の「心」を新藤兼人が脚色、監督。舞台は現代。本郷の素人下宿に間借りしているK(松橋登)は、そこの一人娘I子(杏梨)に心ひかれている。Kは苦学している幼なじみのS(辻萬長)を自分の下宿に呼び入れ・・・と見ながら、「心」ってどんな話だったかなぁと。高校の現国の授業で読んだきりだもん。そのころ『彼岸過ぎまで』『虞美人草』とかいろいろ読んだんだけど、全部忘れた(笑)。テーマは「罪の意識」ってことなんでしょうか。70年代の雰囲気いっぱい。
30年前の本郷には一昔前の風景がまたいっぱい残っていたんだなぁと興味深く見ました。何度も登場する坂は池之端の無縁坂でしょう。森鴎外の『雁』の舞台になった坂。左側の石垣は岩崎邸。下宿先は菊坂あたりとみました。
I子役の杏梨という人も妙に印象に残りました。ネットで検索しても、どういう人かわからないのですが、本業はモデルやってますって感じ。すごい大根でセリフ棒読みなんだけれど、それが見ているうちに味わい深くなってくるんだよなぁ。

『あなた買います』(1956年・松竹)
CSでは「小林正樹監督 没後10年特集」なる番組が放送中で、これもその1本。主演は佐田啓二。有望選手をめぐるプロ野球界の争奪戦が舞台。
大学野球の超大物スラッガー(大木実)には、かれを育て学費の援助までした恩師(伊藤雄之助)がいる。各球団のスカウトたちは、大木実と契約するために彼の代理人となっている伊藤雄之助に何とか取り入ろうとする。現金や贈り物がとびかい、大木実の兄弟までが欲にかられて、最後は収拾がつかなくなっていく。で、肝心の大木実は・・・。で、この映画の主演は佐田啓二(球団のスカウト)なんですが、見た目が「いい人」っぽいので、最初は違和感がありました。百戦錬磨のスカウトって感じじゃないんだもん。この映画はなんといっても伊藤雄之助。何を考えているのか、本心がどこにあるのかわからないイヤな代理人は彼にしかできないと思う。最後の最後に「自分を信じてほしい」という悲壮な表情は心をうちました。
この映画は結果は「敗北」の映画なんですが、最後に佐田啓二と伊藤雄之助が初めて信じあえることで救われるし、本当の勝者は誰なのかと考えさせてもくれました。ライブドアや村上ファンドの事件が巷を騒がせている現代にも通用する内容だと思います。

|

« 風邪ひいた。 | トップページ | 本日ハ休暇ナリ »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 風邪ひいても映画メモ(10):

» 「心」 [邦画ブラボー]
松橋登である。 苦悩する若者・・をやらせたら天下一品ですねえ。 夏目漱石の原作をベースに新藤兼人が 脚本を書き、監督も務めている。 舞台は明治ではなく 現代(といっても70年代)に置き換えられていた。 久々の松橋登はやっぱりよかった。 繊細な芝居でKの心理を演じきる。 恋の衝動、裏切り 友を死に追いやった苦しみを端正な顔ににじませる。 甘く、深みのある声でのナレーションも素晴らしかった。 この人はひ�... [続きを読む]

受信: 2006/06/24 16:05

« 風邪ひいた。 | トップページ | 本日ハ休暇ナリ »