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2006/05/25

『加藤泰映画華』

映画ではなくて本。図書館で借りてきた。映画監督、加藤泰の本であります。
エッセイ、対談・インタビュー、シナリオ2本、監督作品紹介、脚本作品紹介の5章からなっていて、どれも面白い。市川雷蔵も『雷蔵、雷蔵を語る』という、主に彼が生前、後援会誌に書いたものを集めた本が出ていて、これまたすんごーく面白いんだけれど、この二人の文章って、変な気取りがないぶん、素直で読みやすくて心の中にスッと入ってくる。

この本の中で私が一番好きなのは、『私の映画遍歴』という少し長い一編。名古屋に住む加藤少年が昭和の初め、映画(というよりはカツドウ)にとりつかれていく姿が切なくなるほど真っ直ぐな文章で書かれているのだ。中でも彼が一番心を動かされ熱狂したのが伊藤大輔。その記念すべき出会いの一本となった『続大岡政談・魔像篇第一』についての部分なんて熱くて熱くて、ページの間から湯気がたってきそうだ。
この熱さが映画を作る力になっていたんだなー。

加藤泰映画の特徴は「長まわし」「超ローアングル」「同時録音」。これは実にスタッフ泣かせで、監督作品を紹介した章では、加藤泰本人や当時のスタッフがそれぞれの映画についてコメントしているんだけれど、これがもう大変を通り越しておかしい。地面すれすれにカメラを据えたいからアスファルトの道路を掘り返し、いざ撮影となったら今度は近くの風呂屋から子供の泣き声が聞こえてくる(笑)。みんなブツブツ文句たらたらなんだけれど、それも今となっては全てはいい思い出で、昔のよき撮影所の雰囲気が伝わってくるのだ。

『人生劇場』の撮影現場で、森繁と加藤監督が撮影をめぐってやりあった時のエピソードがいい。田宮次郎、かっこいい(機会があったら、ここだけでも読んでくだされ)。誰もが人間くさくて・・・。

加藤泰という人は映画が好きで好きでたまらない人で、だからこそ「こころをこめて」映画を撮り続けていた人で、そういう人の書いたものを読むと、やっぱ何ごとも愛情がなければいい物は生まれないとしみじみ。

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