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2006/04/15

ふところ手帖@子母澤寛

最近は映画ばっかりなので本のはなし。
・・・といってもこの本を手に取ったのは、ここに収録されている『座頭市物語』という10ページあまりの随筆が、あの映画の座頭市の素になったときいたからなんだけれど。
簡単に言えば、江戸時代、主に幕末の世相、市井の人々を愛情込めて書き残した歴史随筆ってところ。
『消えた剣客』って一編に子母澤寛はこう書いてる。

『維新の時、あの時にぱっと世の勢にのって出てきた人間よりは、置き残されて埋れて終った人たちの方が、本当は人間として温い、そして純情なものではなかったかとよく思う。だから旗本や御家人の零落して全く市井に埋れた人たちが妙に好きだ』

子母澤寛は多くの人の事を聞き書きしたらしい。聞き書きってことは、あそこにいた○○親分のこと、とうの昔につぶれてしまったあの店の主人のこと・・・今はもういない人や亡くなった風景を記憶に残して伝える人がいたってことで、そのことに何だかじーんとしちゃう。それって、その土地が生きているって事なんじゃないかなぁ。
んで、そんな世の中から消えてしまった人たちのあれこれを読んでいると、確かに昔は生活面では大変な事もあったろうけれど、意外と生きやすい世の中でもあったのではなかろうかとも思う。『義理と人情のこの世界』です(笑)。

作者の人を見つめる視線の優しさを感じつつ読める気持ちのいい一冊です。おすすめ。

ところで、剣客、島田虎之助って39歳で亡くなっているのね。市川雷蔵の『大菩薩峠』に出てくるんだけれど、演ずるのは島田正吾だったんで、もっとオッサンかと思っていたのだ。

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